車窓の中で跳ねる五線譜

僕が脳裏を表にして書くブログです。難しい文体でごめんなさい。

開封

深紅のハイヒール、言葉に詰まる意思表明を僕は毎夜空に書く。明らかに僕は自若過ぎる。少しは表現の曇り眼の危機感を嚥下しても良いものの、どこか僕は出来ると思ってしまう。おめでとう。僕は晴れて道化の師として道化に拍手を送れるよ。まぁ、自虐はこれくらいにしておいて、トーストにママレードを塗る朝を終えようか。


悲しみを悲しくなったとそのまま書くのは不粋だと僕は常々思っていて、常日頃の自分の興じる心情が「楽しかったです」で片付くのも許せない。作文用紙が踊る程、僕は自己心情を書くのが得意で、それを武器と出来る事を誇りに思っている。


イヤホンの絡まりを疎ましく思う人間の腕の動きを観察し、事細かく言葉で描写していく。世界は一瞬動きを止め、僕の為に歩幅を合わせてくれる。毎日、毎日だ。僕は文字を書いて読んで覚えて発して奏でて考えて見て感じて伝えて苦しんで楽しんで悲しんで悶えて辛くて辛くて、でも、綴る事をやめないのは僕がその真価に可能性を感じているからだ。


時折強く感じる目の乾き。背中の筋肉に力を入れ、伸びをする。目を軽く擦り冷蔵庫を開ける。僕が手にした缶のカクテルは手から素早く眠気を吸い込んでくれる。それを飲むという事は、眠気の反芻を行おうとしているのだ。不思議な事に、僕の舌は目の前の甘味に気を取られ言葉を発する事を忘れているらしい。多くは語らないで、一休み。さぁ、夜景は幕で遮ろう。
缶を開け放つ。果実の香りが夜を彩る。


今日も今日がやって来た。僕は意思表明をする。

僕はこんな文字を、言葉を飲みました。こんな文字が体を循環して、こんな言葉を吐きました。

そしてゆっくりと明日を信じ、今日も視覚の劇は終幕を迎えるのだった。
缶は開け放たれた。幕間の光が朝を彩る。