車窓の中で跳ねる五線譜

僕が脳裏を表にして書くブログです。難しい文体でごめんなさい。

2019-01-01から1年間の記事一覧

繭糸

僕の世界を展開すると大抵怖がられるのでここに書く事にしている。住み分けの配慮だ。自分語りのサーカスにも多少の演出や雰囲気変えは必要だろう。僕の世界が色濃く分かるのは夢日記なのだが、今回もそれに書かれた出来事(実の所、単語や簡易な文の集合体…

開封

深紅のハイヒール、言葉に詰まる意思表明を僕は毎夜空に書く。明らかに僕は自若過ぎる。少しは表現の曇り眼の危機感を嚥下しても良いものの、どこか僕は出来ると思ってしまう。おめでとう。僕は晴れて道化の師として道化に拍手を送れるよ。まぁ、自虐はこれ…

沈没

開いた単語帳を臍辺りにもたれさせ、車窓から流れるトンネルの黒を眺める高校生。楽器を背負い、厚手のコートの毛玉を取っている。青春とは、一人でも成立しうる。それは、情景が引き起こす輝かしさの魔力でもあり、僕の羨望なのかもしれない。 『うつせみ』…

独奏

僕が良く考える事を話そう。 マックナゲットで余ったソース、納豆のカラシ、寿司のわさび。それらが冷蔵庫の奥深くにしまわれた時間の話だ。誰かには必要とされていて、誰かには不要とされる彼等。消費か埋没のどちらかしか叶わない悲しい存在だ。これは創作…

咀嚼

車窓には擦り傷のような雨の軌跡が貼り付いている。なるほどな、夜雨が僕に寒さを教えるとは、何たる親切か。上着を着たままの車内は暑過ぎる。面白い程に人間というのは気温にフラストレーションの振れ幅を左右されがちだ。かく言う僕も車窓の水煙で安堵の…

無駄

無駄、その言葉は現社会において多用される傾向にある。その場面も様々で効率化を求めるムーブメント、雑談や悪あがき、惰性や過度な足し算の美学、二重敬語、政治家が行う無能采配。本当に様々だ。だが、ここに経験が入っている事に僕は異議を唱えたい。 実…

無神

帰巣本能が働き、僕は味噌汁を欲していた。あの深みある味わい、染み渡ると表現できる料理はそう多くない。僕は味噌汁が注がれる器も好きで、あの小振りな背丈は僕の食事を円滑に進め、趣すら感じさせる。僕が味噌汁について話したのは、僕が海外旅行に行っ…

品格

ブランチの刻、僕は抱腹し、食欲の高まりを感じていた。まぁ僕は少食だから、この欲も少しの咀嚼で消えるのだが、そういった飢えにここまで強いのは考えものだ。 僕は何を思ったのか高級を体現した街路に来ていた。いや、実に空気の入れ換えが上手い。これほ…

歯車

ビル街はしきりに冬晴れを反射しては枯れ葉と共にセレナーデを奏でている。口渇感はそれに拍車をかけるように日々の時間を歪めていて、僕の黒い着こなしを咎めるように演奏はクライマックスを迎えるのであった。 一方僕に快活さは微塵もなく、環状運転に身を…

食器

二択を外し続ける気持ちが理解できるだろうか。 僕の身体は自由が利かない。僕だけじゃない。それは分かっているが、運動の感覚、それのみならず認識においても不自由を抱えている。 左と右、その違いは何だろうか。何をもって左とするか、右とするか。僕は…

鎮魂

旅する老婆、水が浸るバスに座って煙草を吹かす蛙。 そう、僕の眠りが生む世界は無秩序で、どうしようもない。水に溶けていく墨を掴もうとしている。これが、僕の深層描写、表現思考の核である。 夢についてはまだ語りきれていない。所謂先から続く夢日記シ…

青風

朽ちてなお朽ちる日々に惚けて生きてきた僕が今巣から旅立とうとしている。この響きにおいて良い印象を抱かない人間が僕以外にもいるだろう。それは不安定、崩壊、知らなかった支援の形を認知し、日々という秩序の保持に割かれる労力を実感する事になる。 前…

選別

一週間、ブログを空けてしまった。 というのも筆を取り、書き連ねていく内に似たような心象風景を描いてしまい自分の腕を呪いたくなる日々が続いた。そこに胃腸の感染症も重なり心身共に苦しいものがあったのだ。だが、僕はここで思う。僕は僕を恐れているの…

飼育

快晴、それは青だ。青が全てを支配している。 反転したグラフィティ。生きる為には、その上に自分の色を残さなくてはいけない。 不潔だが、それが人間というものだ。 どうも今日は怠惰、身がふやける。枕が重い。暁が遠ざかっていく気配を聴く。温かさを脱ぎ…

鰯雲

青葉を食んでみたがどうも苦い。渋さを通り越して粘つく唾液が汚染されていく。葉は生きていた。人間と共生していた。あの場で、健やかに揺らしていたあの葉を僕は食んだのだ。悲しみを覚え、その不快を罰ととった。僕は阿呆として今日一日歩む行為に神経を…

重箱

毎日何人か僕の稚拙な文を閲覧しているようで非常に喜ばしい。と、同時に向上心が湧き上がる。僕がこの筆を制御しているようで、その実逆なのかもしれないと最近思うようになったのだ。 書けば元気になる人間は物書きの職に向いているらしいが、僕の場合、書…

狼煙

スニーカーには針葉樹が似合う。祖父がそう言った記憶がある。本当にそう言ったか確かではないが、格好良かったので覚えている。今日、それを見た。自分の足元にふと目を落とす。僕のスニーカーは真黒だ。針葉樹の微笑みは尚も変わらず似合うようには思えな…

芽吹

僕のブログが非常にウィットに富んでおり、見ていてとても興味深いとの有難き蜜言を頂き、高揚の極みだ。しかしそれは”Interesting”であって”fun”ではない。僕はこれからfunの方面にもブログを活用しようと思う。というのも、オモコロ杯という非常に高尚な興…

子羊

僕はこの現状に憂いていた。歩みを進めるに連れて伸し掛かる等身大の死。僕をここまで育ててくれた親は着実に老い、死へと向かっている。否、死へと帰っている。広告やありきたりな歌詞で描かれる事で「生まれてきた事が奇跡だ」というものがある。僕はあれ…

幻霧

比喩は人間だからこそ出来る術だとつくづく思う。僕は人間から逸脱した神秘的な美よりも煤けた俗的な身辺の美を欲している。距離が離れすぎては、凄いとしか表現できなくなる。賛美の為に発する言葉ですら汚泥に思えてしまう。言葉に浸かりきった僕からすれ…

盲目

僕のブログの名前について訊かれた事がある。 『車窓の中で跳ねる五線譜』 響きが気に入っている。これはどういう意味なのか。 端的に言えば、これが表すのは車窓から望んだ電線だ。車窓に流れる電線はゆっくりと上へ下へ跳ねて動いているように見える。その…

臙脂

昨日ブログを書くのを忘れていたわけだが、別に毎日書くとは宣言していないのにも関わらず今まで毎日書いていた為か、そうしなくてはならないという強迫観念に駆られていた気がする。適当に頑張ろう。気楽に書こう。 僕はここで五感を語る事が多い。周りの環…

病気

眠たげな眼を擦り衣を脱ぐ。残る暖かさの膜は解け、冬季の青い空気が肺を貪る。今日の衣が今日の僕を作り上げる。レコードの音飛びのような足音をさせながらバルコニーに向かう。窓に触れるとその冷たさに肌が縮こまる。四肢が温度に敏感なのはこうやって始…

音色

僕はこのブログでよく自然について語るのだが、それは会話の始めとしてぎこちない「今日はいい天気ですね」とは異なる。僕はイギリス人ではない。移りゆくこの季節、変わりゆく環境と気持ち。それらを重ねつつ日々を認識しているのだ。自然も永久機構ではな…

味蕾

お前のブログ言葉が言葉だからもっと改行しないと読みづらいよ、と指摘を頂いたので改善していく。天体が観測者の思うように動くというのは本来ありえないが、月の満ち欠けのように柔軟に、興に貪欲に生きないと彗星の輝きを得られない気がした。 指先の塩一…

洞穴

吉日、陽射しは葉を黄金に染め、露を神酒へと変える。排ガス管の振動、ダクトの回転音。着実に地球を冒していく我々の営み。その中で変わらず注がれる自然の微笑みが僕の心に引っ掻き痕を残す。五感を鋭く保ちつつ歩く僕の嗅覚を突如砂糖が誘惑する。ドーナ…

線香

僕のブログの文面が堅過ぎると思い少し文体を柔らかくする事にした。レイアウトも少々変更。レビュー等もここに書こうと思う。仄かに見ていただければ幸いだ。錦の雲が列を成す中、砂利道を踏んで僕は今年の夏を思い出していた。暑さ、それを直接的に書く事…

夢魔

黒白反転、瞬きは夢と現を行き来する。羽毛の柔らかさとは異なり、人肌は妙なしなりを帯びている。そこに温かさや冷たさを感じつつも、僕は血の気が全身を巡っている事実に到達した。 最近、夢に現れる彼女、僕のイデアとは離れた存在ではあるが淫魔と形容し…

紫煙

LEDライトがモザイク加工をかけアスファルトに反射している。道行く者は傘を傾げ交差していく。僕はこれも『いい天気』だと思っている。朱色の標識を躱して秋の訪れを感じる穂を撫でる。微かな湿気り、指を擦る。靴底のゴムが捻れ嬌声を上げる。僕は緩やかで…

冷気

太陽が青く街を染め冷気を連れてくる。紙で指を切ったような痛みを腹に抱え僕は目覚めた。今すぐにでもこの街に潜む鉄の働き蟻達が往来を始めるだろう。バルコニーに出た僕は手すりに肘を乗せ、金属の吸熱反応を楽しんだ。寒いな。誰かが言う。誰でもない僕…